「十二使徒の人生」上辻洋平牧師–2022.03.13


「十二使徒の人生」
マタイの福音書10:1-4;上辻洋平牧師

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イエス様は何故この12人の弟子を選ばれたのか、聖書の中ではっきりと説明されている箇所はありませんが、歴史的観点からもその名に相応しいものでした。彼らの働きを通して、私たちは彼らの信仰や忠実な心を見ることができます。彼らは復活されたイエス様を見て信仰と勇気が与えられ、自分の生涯をイエス様に捧げることができました。聖書と歴史的考察から、私たちは彼らが如何にして自分自身を捧げたのかを見ることができます。
  忠実とは、いかなる選択においてもイエス様の教えに従うことです。忠実な心は、私たちが地上の歩みを終える時に神様が見定める基準でもあります。神様の選びは神様の必要に相応しいものです。 古代ギリシャ教父カエサレアのエウセビオスが遺した教会史によって描かれている十二弟子ついて見てみましょう。
  ペテロは漁師であり、いちばん最初にイエス様に従った弟子のうちの一人です。イエス様が十字架に掛けられる前、3回イエス様を否定しましたが、この出来事はクリスチャンにとって感慨深く、恵み深い生きた証しです。人の弱さは主を目の前にして主を否定することができるほどであることを知り、このようなペテロを迎え入れ、重要な使命を託したイエス様の愛を実感できます。ペテロは悔い改めたのち、全力でイエス様のために生き、地中海沿岸各国に散らばっているイスラエル人に福音を宣べ伝え、ローマで逆さ十字架につけられ殉教しました。逆さ十字架はペテロの伝説のうちの一つとなっています。
  ヤコブはヨハネの兄であり、最初にイエス様に従った弟子のうちの一人です。また、いちばん最初に殉教した使徒でもあります。ヤコブを裁きの場に連れて行った人はヤコブの証しを通して悔い改め、ヤコブとともに処刑されました。これは、イエス様が十字架に掛けられた時に、隣りで十字架に掛けられた人との間に起こった出来事と同じです。
  ヨハネはヤコブの弟であり、最初にイエス様に従った弟子のうちの一人です。聖書の中の書物の多くがヨハネによって書かれました。神様に対する忠実心に溢れ、イエス様が母マリアを託した人です。迫害にあいましたが殉教することなく、パトモス島で啓示を受け、黙示録を遺しています。のちにエペソに戻り、招きを受けて近隣の異邦人の地区で教会を設立し、エペソにおいて天に召されたと記されています。
  アンデレはペテロの弟であり、最初にイエス様に従った弟子のうちの一人です。現在のトルコ、ウクライナ、ルーマニアにおいて宣教し、殉教の際も処刑台において説教をしたと伝えられています。結果的に処刑する人を怒らせ、Xの形で十字架につけられました。以後、X形の十字架はアンデレ十字架と呼ばれるようになりました。
  ピリポは大迫害の時にエルサレムを離れ、古代ギリシャのヒエラポリスで結婚し、子どもを授かっています。最後はペテロと同じく、逆さ十字架に掛けられました。
  ナタナエル(バルトロマイ)もまた大迫害の時にエルサレムを離れ、マルコの福音書を他の言葉に翻訳し、東方へ福音を持ち込みました。最期はアルメニアで異教徒により殺害されたと言われています。
  トマスは疑い深い使徒と言われますが、私たちが知っていることは、福音をインドに持ち込み、インドで殉教したということだけです。
  熱心党員シモンはイエス様に出会い、革命派から黙々とイエス様に忠実に従う者に変えられました。エジプト、アフリカ、ペルシャに福音を宣べ伝え、ペルシャで殉教しています。
  ヤコブ(小ヤコブ)とタダイ(ユダ)は兄弟でした。彼らもまた黙々とイエス様に忠実を尽くし、タダイがトルコにおいて国王の病を癒したことでトルコの全国民がイエス様を信じましたが、後にペルシャで十字架に掛けられ殉教しました。ヤコブについての記載はほとんどありませんが、彼も福音の故に殉教した人の一人です。
  マタイは(レビ)は3年間イエス様に従い、イエス様の言行録とも言われるマタイの福音書を書き上げました。アフリカに福音を伝え、最期はペルシャに戻り殉教しています。
  マッテヤはいちばん最後に選ばれた使徒ですが、大迫害の後も頑なにエルサレムに残り、ユダヤ当局の迫害にあい、エルサレムで殉教しています。
  十二使徒の記載は聖書の中では少ないですが、死んでも変わらない志を立て、イエス様に忠実を尽くしていました。彼らの働きからは、福音宣教の大使命をしっかり果たしていたことがわかりますが、この使命は私たち一人一人にも与えられています。神様に選ばれた者は神様に忠実を尽くす生き方をすることを、彼らの働きを通して学ばなければなりません。