「あなたの信仰があなたを直した」
マタイの福音書9:18-34；上辻洋平牧師

錄音

錄影

　奇跡というのは信仰がある者でしたら誰でも経験したいと思うものです。しかし、奇跡における概念は人によって様々です。日常生活のあらゆることが奇跡と思う人もいれば、天から火が降るような奇跡でなければ奇跡と思わない人もいるでしょう。聖書に書かれている奇跡に対して、私たちはその時代に合った価値観をもって見なければなりません。当時、イエス様はこの地上におられ、多くの奇跡を起こされました。しかし、地上におられない今でも同じように奇跡を起こしているのです。大事なことは、奇跡の主権は神様にあるということです。私たちが信仰によって、神様にできないことは何もないと信じるのであれば、生活の中で大小にかかわらず、奇跡を体験することができます。しかし、祈れば必ず与えられるわけではなく、奇跡はイエス様ご自身がキリストであることを人々に知らせるためであり、神様が主権的に行う目的を持った出来事です。この箇所に出てくる人々は、そのことを信じているので主の御前にやって来るのです。
 
1．蘇り
 
　ヤイロがイエス様を探しに行った時、彼の娘は重い病で死の直前にありました。彼は、もし、イエス様が預言者であるならば、娘が生きているうちにイエス様が娘を助けることができるかもしれないと思っていたのです。ヤイロが焦っている時、イエス様は「恐れるな。信じなさい。」と、たったひと言だけ返しました。このひと言は、私たちクリスチャンが主に頼り、勇ましく前進していけることの根源です。
 
　人生において、変えることのできない現実は絶望となりますが、イエス様にとっては希望の始まりであります。私たちは罪の性質を持つが故に、行き詰まらない限りイエス様を思い出さないからです。しかし、神様が私たちに望んでおられることは、私たちが困難に直面した時に御前に来て悔い改めることではなく、恐れずに信じ続けることです。ヤイロが希望を失くしてしまった時、イエス様はヤイロの家に行き、娘を蘇らせ、平安にヤイロに手渡しました。
 
2．12年間長血を患っていた女が癒される
 
　彼女が群衆の中に隠れなければならない背景には、当時の律法が関わっていました。もし、彼女が平然と群衆の前に身を晒すのであれば、それは社会に対する責任を問われることでした。しかし、受けるべき社会的責任を無視してまで、信仰を貫いたのです。更に、イエス様は彼女に、イエス様がなさった奇跡を群衆の前で告白するよう促しました。神様は、私たちが神様から受けた恵みを人々に証しすることを望んでおられます。
 
　彼女が群衆の前で恵みを分かち合った時、イエス様は「あなたの信仰があなたを直したのです。」と、言われました。信仰には雑念はなく、単純なのです。神様は全能であり、私たちを救うことができる、ただそれを信じることで、人生は希望に満ち溢れます。
 
　自分のために生きる人生は何とも虚しく、煩いに満ちたものですが、神様を中心として生き、神様の思いや行いを自分のものとするならば、神様はそのような心を守ってくださいます。