光の武具を身に着ける」山口陽一牧師–2021.09.12


「光の武具を身に着ける」
ローマ人への手紙13:11-14;山口陽一牧師

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 本日の聖書箇所は、思想家アウグスティヌスが384年に回心した時に、神様に語りかけられた箇所です。彼はその時のことを「わたしの心は急速に静まり、内にほのかな光が差し込んできた」と表現しています。
 
 ローマ人への手紙は、パウロが残した手紙の中で最も中心的な手紙です。パウロはこの手紙の中で”すべての人が一人も残らず神の御前に罪人である“と、言われました。罪とは、神に背き、生きる意味や目的を見失いながら自分中心に生きることです。神はそのような罪人の為に、ご自身の大切なひとり子イエス・キリストを与えて下さり、本来、罪人が受けるべきすべての苦しみ、呪い、さばきをイエス・キリストが受けて下さいました。そして、イエス・キリストのきよさ、喜び、本当の知恵や正しさ、神の子としての身分、そのようなものすべてを、恵みとして私たちに与えて下さいました。ですから、もう罪に定められることは決してありません(8:1)。救われた人は、自分の為に生きてきた人生から、神を中心とする人生へと変えられていきます。
 
 ローマの最初の教会は、ペンテコステの時にローマからエルサレムに来て、聖霊降臨を目撃した人々から始まったと言われています。当初はユダヤ人のクリスチャンへの迫害等、様々な課題や困難がありましたが、パウロは手紙の中で、“すべての人を照らすまことの光、義の太陽であるイエス・キリストが既に来たのですから、光の中で生活するのに相応しい歩みをしましょう。遊興や泥酔、淫乱や好色、争いやねたみの生活ではなく、昼らしい、品位のある生き方をしようではありませんか。主イエス・キリストを身に着けなさい。“(13:12〜14)と、勧めました。
 
 コロナ禍での一年半、教会も大きな困難を経験していますが、そのような中で、昨年5月「香港2020福音宣言」と言う素晴らしい宣言が香港でなされました。ー①イエス・キリストこそ福音そのものである②イエス・キリストこそ教会の唯一の主である③教会は福音を宣べ伝える証人の共同体である④教会は真理の柱、土台であり、偽りを拒否し、真理を堅く守る⑤霊性と行動は分けることができない⑥教会は暗闇の時代にあって、光の子であるー⑥の内容は「絶望のあるところに希望をもたらし、不正のあるところで正義を擁護し、憎しみのあるところに愛を広め、虚偽のあるところに真理を追及し、傷つき痛むところを包み癒し、暴力のあるところで犠牲をいとわないことである。教会は神の国を待ち望み、その到来の為に祈り、力ある限り神が人間に賜った尊厳と自由を擁護し、命を守り、香港人とともに歩み続け、平等・正義・愛を香港において具体的に示さなければならない。」で、ありますが、闇の時代の中にあってこのように宣言していくことは、どれほど心打たれることでしょう。
 
 ”さらにあなたがたは、今がどのような時であるか知っています。あなたがたが眠りからさめるべき時刻が、もう来ているのです。私たちが信じたときよりも、今は救いがもっと私たちに近づいているのですから。”(13:11)コロナ禍にあって、信徒同士の深い交わりや伝道は滞りがちになったり、在宅勤務やオンライン授業が続き、将来への不安もあるかと思います。しかし、私たちは目を覚まして、光の武具であるイエス・キリストを身に纏いましょう。聖書を読む時間を増やし、祈り、主の御前に静まり、困難の中でもしっかりと歩んでいきましょう。